ノウハウ

AI導入の前に知っておくべき基礎知識(後編)――効率的に自業務にAIを導入するための4ステップ

目次

こんにちは!調和技研でお客様のAI導入をサポートしている、コンサルティンググループの丸井です。

前回の記事ではAIの導入を検討する際にまず知っておいた方がよいことを解説しました。今回は実際に業務へAIを導入する際、どのようなステップを踏むかについて順を追ってお伝えしていきます。

AI導入のステップ1:AI導入計画の作成

AIの導入を考えたときに、まず必要となるのが「導入計画の作成」です。AIを導入したい業務の内容をAIエンジニアへ共有し、AIが対応可能な作業を踏まえながら、作成するAIがどの範囲のどんな業務を担うのかを具体化します。

この作業で意外と難しい点が、目的を明確にすることです。AIを導入したい具体的な作業やそれに伴う要件を考えていくと、当初考えていたものとは異なるところでのボトルネックの存在に気が付くことがあります。このような真の課題を見つけるためにも、何を解決したいのか、どんな価値を追求するのかについて社内関係者でよく検討し、それに沿って要件を決定していくことが、適切なAIツールの選定にもつながります。

また、どのような成果が出れば「成功」なのか、定義しておくことも大切です。

AI導入によって得られる価値には、作業時間の削減率、作業効率向上によるコスト削減率、動的価格設定等による売上アップ率など、いくつかの指標が考えられます。どの指標を採用し、どの程度の達成率を目標とするか、予め検討しておきましょう。

目的の明確化や要件の洗い出しがうまくいかない、整理が難しいという場合には、AIコンサルタントやAIエンジニアを交えてディスカッションを行い、方向性を決定していくこともおすすめです。

AIを導入する際の考え方

計画作成の際は、AI導入の大前提として、以下2つの考え方を理解しておくと導入がスムーズに進みます。

1.AIは人の作業を強化するためのツール

AIを導入する目的の多くは、業務効率化や作業負担の軽減です。「現状、人が行っている作業を再現するツールが必要」と考えるのではなく、AIは選択肢の一つとして専門家の意見も参考にしながら、「どうすればその作業を効率化できるか」と考え、実運用に合った方法を選択すると、よりよい結果に繋がります。

2.早く使い、役立てる

まずは最低限の機能・精度のAIを用意し実際に使用して、業務における有用性を確かめることが重要です。

当初必要だと想定した要件でも、実際に完成したシステムを使い始めると、実は不要な要件だったと判明することもよくあります。できるだけ早く有用性判断の段階に移り、本質とは関係のない改良にとらわれないようにすることがコツとなります。

AI導入のステップ2:可用性の検証(PoC)

導入計画の用意ができたら、AIが想定通りに機能するのか、精度を確かめながら実現可能性を見極める段階に移ります。この段階を可用性の検証(PoC:Proof of Concept)と呼びます。

この際、AIエンジニアは依頼者が用意したデータを見て適用する手法を決め、AIを動作させるプログラムを実装し、精度を確認します。基本的にはこの作業を繰り返してAIを調整します。

AIはデータに基づいて学習しますので、正確で質の高いデータの提供が不可欠です。

この時点で要件の不足等が判明した場合は、新しく出た要件に優先度をつけ順次取り込んでいきます。

適切なデータ・手法を採用してもなお設定した目標に達しない見込みが大きければ、AI導入プロジェクトの打ち切りも検討が必要となります。

AI導入のステップ3:システム構築

PoCでAIの可用性が判断できたら、次にAIを本番運用するためのシステム構築を行います。

データの取得・蓄積、AIの学習などを含め、実際に使用できる状態になるまで一連の動作の設計・開発・テストを実施します。

ここで潜在的な問題や課題点を特定し、実装に際してモデルの改良を行っていきます。

ステップ1でAIの導入計画時に作成した評価指標をもとに、AIのアウトプットの精度を測ったり、改善点をチェックします。改善点が判明した場合には、必要に応じて新しい要件の追加を検討します。

構築したAIがある程度実用に耐えうる、と判断ができた段階で、システムを本番環境に実装します。

AI導入のステップ4:システム運用

本番環境に実装した後は、AIの保守・運用を実施します。

またAI導入後も定期的に効果を確認し、必要に応じて調整を行います。構築したAIモデルの精度の維持・向上のためにも、本番環境への実装後も定期的な再学習が必要です。

実際の使い勝手についてユーザーアンケートを実施し、改善点を洗い出した上で調整を行うことも有効です。

システム運用の際に大事なのは、運用開始時の性能が高くなくとも、まずは実装して使いだすということです。運用すること自体が新しいデータの取得・蓄積に繋がり、その新しいデータを取り込むことでAIの精度が次第に上がっていきます。

AIのことなら何でもご相談ください!

以上、今回はAIを導入するためのステップについて、概要をご紹介しました。

AI導入でつまずくケースの多くは、目的が不明確であったり、データの品質が低かったりすることが原因です。特に初めてAI導入に取り組む場合、成功させるためには十分な計画と、継続的なサポートが必要です。

調和技研ではAIの開発だけでなく、導入前のコンサルティングも豊富な実績を持っています。

AIを導入したいがどのように計画すれば良いかわからない、丁寧に伴走してくれるパートナーを探している、などAI導入に関してお困りのことなどありましたらぜひお気軽にご相談ください。

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記事を書いた人
丸井 彩加

AI導入コンサル、セミナー実施や、AI研究開発のプロジェクト管理業務に従事。教育事業会社でのコンテンツ作成・運営、製造業での需要予測・需給調整経験などを経て2022年調和技研に入社。今思えば需給調整はAIを導入すれば即解決(?)だったかもしれない。リモートワークの良さを享受しつつも、運動不足が目下の課題です。