「戻れない変化」を生み出し続ける。コンサルを通して見極める業界DX実現への道筋

ダイコク電機株式会社 様

愛知県名古屋市に本社を構える株式会社ダイコク電機様は、パチンコ・パチスロホール様向けにホールコンピュータをはじめとした情報システム機器の開発・製造・販売を手掛けるほか、パチンコ・パチスロ遊技ファン向けのデータ閲覧スマホサービス等を提供している企業です。

2021年8月より、調和技研のDX /AIコンサルティングサービスをご活用いただき、社内や業界のDX推進を牽引されています。

今回は、システム開発なども担うダイコク電機様が、当サービスを導入した経緯やその成果、本質的なAI活用への考え方などについて、代表取締役社長・栢森様と情報システム事業部開発部・根木様に伺いました。

 【導入の目的】
・AIのトレンドや最新技術をおさえ、社内にAI技術の知識・知見を根付かせる
・自社や業界に特化したコアな技術、差別化できる技術を見極める
・自社や業界へのAI活用を具現化する

【実施したこと】
・AI技術のトレンドや最新情報の共有
・AI適用テーマの発案と技術検証

【導入後の成果】
・AI技術・AI活用における知識・知見が深まった
・AI開発における適正な開発コストや継続コストを把握できた
・ビジネス転用におけるコストパフォーマンスの重要性を認識できた
・PoCに進めるべき開発テーマを見定めることができた

【評価】
・業界を問わない最新のAI活用情報の提供により、アイデアの幅が広がった
・プロジェクトの進め方を前向きに改善したことで早期判断ができるようになった
・調和技研にもドメイン知識がついたことで研究スピードが向上した

目次

“本物の技術力”を持つパートナーと、自社技術の更なる向上を目指して

左から:代表取締役社長 栢森雅勝様、情報システム事業部開発部 根木優様

Q. はじめに、社内や業界のDXを推進されてきているダイコク電機様が、弊社のDX/AIコンサルティングサービスのご活用を検討されたキッカケを教えてください。

根木様:当社はパチンコ・パチスロホール様に対するコンサルティング営業に強みを持っています。お客様からも、業務効率化よりも利益向上につながる提案を期待されているため、以前から、弊社の有する業界最大の営業データを活かしたデータサイエンスやAIに取り組んでいました。

従来のAI技術では成果に結びつけることは難しかったのですが、AIはここ数年で急激に進化を遂げています。そこで、“本物の技術力”を持っているAIベンダーとタッグを組み成果を上げたいと考え、調和技研さんに辿り着きました。

具体的な成果と同時に、自社のAI技術レベルの底上げを目指して、DX/AIコンサルティングサービスの活用に至ったということです。

Q. 御社へのコンサルティングでは、最新のAI活用事例や技術トレンドなどをご紹介した上で、御社からのアイデアの実現性を検証するというサイクルを続けさせていただいています。どのような点に当サービスを活用する意義を感じていますか?ダイコク電機様に対して実施したコンサルティングの全体像

根木様:世の中に溢れるAI活用事例の情報は表面的で、理想的な使い方を取り上げているものが大半です。しかし、実際に事業やサービスに落とし込むためには、作業イメージや必要な技術などへの理解が不可欠です。調和技研さんからは、アイデアを具現化するまでのプロセスや実現性といった具体的なお話を聞けるので、非常に参考になっています。

また、調和技研さんはさまざまな業界・業種での開発実績があり、共有される事例も本当に多種多様です。トレンドだけではなく、自社や業界にとって「本当に必要な技術」を見極めるために、調和技研さんのDX/AIコンサルティングサービスはとても良いサービスだと思っています。この取り組みを通して調和技研さんと関わっているメンバーは、ある程度AIの知識がついてきていると感じています。

人を置き換えた“その先”。仕事を紐解き、活用すべき場面を見極める

Q. 弊社では、お客様の企業内で検討されたアイデアを実現するAI開発の依頼をいただくことが多いのですが、ダイコク電機様は最初から開発に着手するのではなく「まずAIの知識を深めよう」と取り組まれています。そうした方針の背景にあるお考えをお聞かせください。

栢森様: AIを活用するうえではまず、「我々の仕事とは何か」と立ち返ることから必要だと考えています。私たちは製造業なので、モノを企画開発して、製造して、お客様にご利用いただくことでビジネスをしています。しかし、直接モノに関わっている人は実は多くなく、大半の人が行っているのは、誰かとの交渉や調整、やり取りといった情報処理です。情報が流れた結果としてお金が動き、モノが動く。その中に効率・非効率があり、ビジネスあるいは社会的な動きになっていくと捉えています。

つまり、大事なのは「その情報の流れをどう変えていくか」であり、他社の導入事例を見て「私も使ってみたい」と取り入れるのは変革ではなく、ただの“道具の交換”です。私も昔はそうでしたが、技術に関わる人間は、人がやることを技術に置き換えることが正義だと思っている節があります。

これは20年前の中国での工場見学時の話ですが、製造工程の最後で人手でシールを貼っているのを見て、「なぜあんな単純な作業を機械に置き換えないのですか」と尋ねたところ、「機械をつくるには技術屋が必要だし、故障すれば工場が止まってしまう」と。単純作業なら訓練も必要ないので、人手のほうが効率がいいというのです。結局技術というのは、それを支える土台とセットであり、人から置き換えが可能でもその後を考えると実は人が担ったほうがいいケースは意外とあるのだと気づきました。

Q. なるほど。ただ「AIにできる業務を置き換える」というだけでは、“道具の交換”で終わってしまうことの方が多いのかもしれません。

栢森様:発想としては“人をAIに置き換えよう”とするのではなく、“その仕事をなくしてしまえばいい”んです。その領域に辿り着くためには、人と技術の違いや特性を理解して、どこを人が担い、どこを機械に任せるかを考えなければなりません。企業の中ではモノを扱う人よりも情報を扱う人の方が圧倒的に多いですし、企業の情報処理機関は肥大化していますから、その点でAIは課題解決の幅を広げてくれる存在だと思っています。

“定型的”な要素がAI活用の糸口? 技術検証から見えてきたもの

Q. 直近ではダイコク電機様と、業界に特化したコンサルティングデータに対する解析と一言コメントを出力するというLLM活用の技術検証を進めています。

根木様:LLMから有効なコメントを引き出すのは、後輩の育成に似ています。具体的なアドバイスをプロンプトに反映させることで、徐々にコンサルタントが書いたようなコメントが得られるようになります。最終的にプロンプトを振り返ると、まるでコンサルティングメンバーの思考が文章化されたように感じられて面白かったです。

データ解析ではディープラーニング、コメントへの落とし込みではLLMの技術が大きかったように思います。従来はまともな文章で出すことも難しい印象でしたが、LLMの技術で自動化への期待が持てました。ハルシネーションに関しても、幾重にもやっていく必要はありますが、業界内など範囲を絞れば「いけるかも」と自信が出てきたところです。

Q. 実際にお客様へのコンサルティングの場面では活用できそうでしょうか?

根木様:実際のコンサルティングでは企業データや業界の統計データを見たりと、複合的な要素を加味したうえで話しますので、さすがに今の生成AIやLLMだけでは厳しいところがあります。ただ、表などのデータだけでは解釈が難しいところを、統計的に見てポイントを示してくれるので、ある程度枠が定まった中で使い込むにはすごくいいと思います。

この検証を通して、お客様から信頼されるコンサルティングは代えが効きませんが、統計データを見てコメントを作成するような人は代替できてしまうことが見えてきました。データの見方にも定型パターンのようなものがあるということなのでしょうね。

AI技術を活用し、「戻れない変化」を生み出し続ける 

Q. DX推進の取り組みにおける今後の展望を教えてください。

栢森様:新しい技術が“未来”のように感じてしまうことはよくあります。しかし、新しいことを取り込む前に、新しい技術で今あるものをどれだけ変えられるのかを入り口として、その先に、今度は新しい技術にしかできないものを世の中に提案していきたいと考えています。

今はDXが流行り言葉のようになっていますが、DXとは簡単に言うと「習慣を変えること」だと思います。例えば、今は車で移動する際に当たり前のようにナビを使います。では、ナビがない時代に戻れるか。戻れるなら、それはただもてはやされただけの技術であり、「これがなくなるなんて考えられない」と思えたらそれは流行りではなく、変革だと思います。

ダイコク電機でもそういった「元に戻れない変化」をつくり続けていきたいです。まずは業界から、そしてゆくゆくは業界という枠を飛び出して使ってもらえるようになれば、ますます嬉しいと思います。

Q. ありがとうございます。最後に、ここまでご支援させていただいたなかでの率直なご感想や、弊社へのご要望などをお聞かせください。

根木様:調和技研さんとの取り組みはまだ技術研究の段階ですが、「AIを使えるようにする」という具体的な作業は、かなり広いアプローチで実践できました。AI活用には常にお金がかかり、ビジネスに落とす時のコスト感などが難しいため、「これはもう芽が出ない」という判断を早い段階でできることが重要ですが、途中でプロジェクトの進め方を前向きに改善していただき、早期判断に繋げられるようになりました。

また、数年のお付き合いの中で調和技研さんにもドメイン知識がついてきているのを感じます。お互いに理解が早くなったことで、話がトントン拍子で進むようになり、AIの使いどころも変わってきました。

栢森が言うように、まずは「私たちの仕事が何かを理解すること」、そして「何をどうやって解決するか」、「それはAIの適性なのか」を考えることが重要で、本質はそこにあります。ドメイン知識や経営的な視点を持ちながら最適な使い方を考え、調和技研さんと「戻れない変化」を一緒につくっていけたらと思っています。



調和技研では、お客様企業におけるDX推進やAI活用の成功に向けて、AIモデルの開発だけでなくコンサルティングサービスもご提供しております。

どのような業務にAIを活用すればより効果的なのか分からない、具体的なAI活用イメージがあってもAI開発の具体的な進め方が分からない、などの課題をお持ちでしたらぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

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